
galleryのオープンを記念して、Illustration BOOK PRO 01で表紙を飾っていただいたかくたりかこさん、
氷見こずえさんお二人のコラボレーションン展を開催しました。
オープン初日に東京から大阪にあるpict galleryまでお越し頂いた際に、アスタリスク代表の小島、ヴィジョントラック代表の庄野の4人で対談を行った様子をご覧ください。
庄野:実はIllustration BOOK PRO (以下、ブックプロ)で表紙がお二人に決まるまでにはいくつかの段階がありました。
まずは表紙デザインをお願いしたアトモスフィアの川村哲司さんに150名の中から数名の作品をピックアップしていただき、さらに出版社のピエブックスに日本、フランス、イギリス、韓国などでバイヤーにリサーチをかけてもらったのです。その結果、日本、フランス、韓国などではかくたさん、イギリス、香港などでは氷見さんとなり、ほぼ2分する形になりました。それなら、いっそのこと表1にかくたさん、表4に氷見さんをレイアウトして、ダブル表紙ということにしてはどうか?とピエブックスから提案があり、是非そうしようということで決定しました。僕らは表紙に関してのセレクトはほとんどノータッチでしたが、とても気に入っていますし、結果としても大成功で、かなり評判もいいです。

かくたさんはご自身の作品が表紙になったデザインを見た時の感想はどうでした?
かくた;全然、自分のイラストが表紙になるとは考えてませんでしたが…
デザインがすばらしいので、自分の作品じゃないみたいに感じました。
氷見:二人のイラストのティストは違うのに、背景の色が偶然同じで違和感なく合ってますよね。
かくた:それ、思いました!(笑)
庄野:川村さんはイラストを最も上手く活用していただけるデレクターの1人ですから今回は何としてもブックプロの表紙をお願いしたかったのですが、本当にきれいにまとめて頂き僕らにとってもかなり満足度の高い表紙にして頂きました。
氷見: Titleの編集部に伺ったことがあるんですけど、その時に川村さんにお会いしました。

庄野:氷見さんはどうですか?表紙になった今回の自分の絵を見られて。
氷見:いつもそうなんですけど、仕事でもこれはこうやった方が面白いとか、もっとこうしたいとか、すっごく考えながら描くんですけど、完成したら、もうその絵には興味が無くなってしまうんですよ。
今回も表紙って聞いて嬉しかったんですけど、自分の中では描き終わった作品だったので、絵が完成したときの達成感の方が大きくて…
かくた:何か他人事みたいな気がするって感じですか?
私も最初にデザインを見た時、何かカッコいいなあ、と自分の作品じゃないみたいな気がしました。
庄野:それくらいの距離感で自分の作品を見れる方がイラストレーションとしては成功しているように思います。
かくた:今回はブックプロの場合とは違ってギャラリーでは実際に原画がそのまま、しかも同じ空間にお二人の絵が飾られているのを見て、どういう感想をもたれましたか?
氷見:自分の絵はそれなりです…。
かくたさんの絵を見て、Macで描いているのに、ちゃんと物質感があってデジタルでもここまで表現できるんだと驚きました。
庄野:そうですね、氷見さんのイラストも本当に緻密で、圧倒される存在感を放ってますが、かくたさんのイラストもデジタルであることを超越していて純粋にファッションイラストとして時代感、インパクトを感じます。
かくたさんはどう思いました?
かくた:私も自分の絵にはあまり興味が無くて、氷見さんの絵に興味を持ちました。
庄野:面白いですね。僕らスタッフの中では、2人の思いがすごく詰まってるんだろうなって、展示の時もかなり緊張しながら絵を飾らせて頂きましたけど…(笑)。
かくた&氷見:いやいや全然(笑)

庄野:氷見さんの絵はかなり緻密な印象を受けますが、一枚仕上げるのにどれくらいの時間がかかりますか?
氷見:実は結構早くて、雑誌などの時間が限られた仕事でも大丈夫ですし、そんなに時間はかからないんですよ。
緻密という点では、細かく描く感じは自己満足に近くて、もっと冷静に対象物をとらえて描けるようになりたいとも思います。
かくた:私は実は元々漫画を描いていたので、物の捉え方が面であったり線であったり、人の顔を顔ととらえずに書いてしまって、陰影とかも完全に違う世界で描いてしまうんですが、氷見さんの捉え方、描写はすごいなあと感心して今日も見せて頂きました。
氷見:逆に人の顔を風景とか洋服と同じように捉えて描けるってのが、いいですよね。私の場合、人の顔とかだと自分の好みとか、そういうものですっごい左右されるから…
顔だけ自分の好みになっちゃって、体とかはもっと冷静に書けて動物とかだと冷静に書けるんですよ。
ところで、かくたさんは描く上で達成感ってどこに感じますか?
かくた:定まらないときは、描いては消し描いては消し。何回もやります。
でも絵が完成するときって、これで終わりだなって瞬間があって、それが不思議なんだけど。きっとその時に達成感みたいなものを感じてるかも。
いつも潔よくありたいと思っていますが。(笑)

小島:潔よいと言えば、かくたさんのイラストはスタイルが半年、一年周期で変わっていますが、毎回、かっこ良くなっていて、それでもまだ変わっていくからすごいですよね。
人それぞれですが、ファッションイラストとしてトレンド感を取り入れるという意味では必要なことだと思います。
氷見さんはファッションイラストというカテゴリーで捉えられることに対して、どう思ってらっしゃいますか?
氷見:自分ではそれについて何とも思ってなくて。特にテーマを決めて描こうって感じでもないですね。
かくた:物語性がありますよね。
氷見:昔はもっとオチをつけてたんですよ。1コマ漫画みたいに。でも周りに見せたら、別にオチなんていらないんじゃないかって言われて。今はオチとかつけずに。(笑)
小島:それは見てみたいですね。(笑)
氷見さんは何にインスピレーションを受けることが多いですか?
氷見:インスピレーションというか、仕事以外に常に描きかけの絵があって、描き終わりかけてくると、焦ってくるというか。
描き終わる前に、次の絵は何を描こうかなって思って、描かない日が一日でもあるともったいないと思うんです。
描かない時でも本とかを見てイメージを作ったり。
小島:かくたさんはいかがですか?最近特に見る雑誌とかあります?
かくた:イタリアンVOGUEとか、numeroを見てます。
ファッション雑誌はよく見るけど、日本の雑誌を見ると、文字を追っちゃうの。
だからインスピレーションという意味では海外のものが多い。
後ろから雑誌を見る癖があるんだけど、きっと読むんじゃなくて絵を見たいからだと思う。
小島:そういう時はどこを特に見ているのですか?ポージングとかファッションですか?
かくた:いいって思えるものって何か感じるものがあって。それが何かなって思いながら刺激を
受けて、それをそのまま描くのじゃなくて妙に線とか見てる感じ?
服とかも、布の質感とか。この光具合がいい!とかいう感じで見てます。
言葉じゃなく何か感じる物があって、ポージングも違うしモデルの体型も違うし、ファッションも今流行っているものをそのまま描くんじゃなくて、印象だけを今にして描いてていきたいなと思ってます。
小島:かくたさんはファッション雑誌とかを見て、今言われたような感覚でイラストに落とし込むわけじゃないですか。そして、そのイラストを見たファッションデザイナーから依頼がきて描いてという、その循環が面白いですよね。

氷見:海外では日本のイラストレーターって、どのように見られてるんですか?やっぱり日本っぽいって感じてるんですかね?
小島:以前NYのギャラリストに、ブックプロを見てもらった時に「このイラストはやっぱり日本人が描いたって感じるか?」って聞いたら「そんなの全然感じない。今はワールドワイドでネット上で同じ情報を得る事ができるから、日本人が描いたとかは関係ない。」得る情報量はどこにいても同じだから、どこで描いてても同じだとも、その方は言ってました。
かくたさんに最近スペインのCUSTO BRCELONA(クストバルセロナ)のTシャツデザインをしていただきましたが、その時も色彩的にもっと派手に派手にという要望はありましたが、基本的にはあまり感覚的な違いは感じませんでした。
今回の展覧会でも二人に既に色々なオファーを頂いてますし、海外でもますます活躍される機会が増えることと思います。