アジアンカフェの関西における草分け的存在「
カンテ・グランデ」が展開するパン屋さん「Panカンテ(大阪マルビル地下)」。その装飾一式を手掛けた画家の西桐玉樹さんと、オーナーの井上温さんに制作当時の様子を「カンテ・グランデ中津本店」で伺いました。
*作品展レポートでも店舗装飾の写真を紹介していますので併せてご覧ください。
interview:hitomi nishio(visiontrack) text&photo:yuko takeuchi(visiontrack)
西尾:まず最初に、西桐さんは今回取材をさせていただいたPanカンテだけでなく、中津にあるカンテグランデの内装の仕事も手掛けられたり、またカンテグランデでは個展を開かれたりなど、カンテさんとのお付き合いは長いようですが?
西桐:10年くらいかな?
井上:そんなにたってないやろ。カンテグランデができてからまだ10年も経ってないし。
西桐:じゃあ、7、8年かな?グランデのギャラリースペースが出来たときに、最初に僕が個展をさせてもらったから。
井上:内装の仕事をお願いしたのは、Panカンテの前身だったカンテTeasっていう店の時です。そのTeasを始める時に、普通のカフェだとあまりおもしろくないなと思っていたんで、「西桐さん、描いてよ」って頼んだんです。その時は、西桐さんが描いてる横で、僕は
ヴェルディのレクイエムとかをガンガンかけて、こんなイメージで描いて下さい、と言ってました。一日に50点も描いてもらって、「けんしょう炎になったー」って、西桐さんは言ってましたけど。
西尾:50点とはすごい点数ですが、作業はどのように進められていたんですか?
西桐:そうですね。壁画については、お客さんがいる時間帯には描けないので、営業時間終わってから、翌朝営業が始まるまでの間に描いてました。毎日ちょっとづつ絵が増えていって、壁画が出来ていく過程もお客さんに楽しんでもらおう、という井上さんの発想です。アクリル絵具を使っていたので乾くのも早いし、そういうふうに作っていったんです。あれはあれで、おもしろかったです。
井上:当初は普通の壁だったんですけど、なんやおもろないなと思って、まず僕が自分で描いてみたんですよ。そしたらとんでもないような店になってしまったんで、本職の方にやり直してもらったら、今度は薔薇の花とか描かれてしまって、次の日にすぐ消してしまった。
西桐:すぐ消されたらどうしようとビクビクしてましたよ。
井上:それはないよ。(笑)
西尾:西桐さんにお願いすれば間違いない、というわけだったんですね?
井上:間違いないってことではないけどね。一生懸命やりすぎて失敗することがあるのも知ってるし。
西桐:・・・・・・(苦笑)
井上:Teasの頃のものもだいぶ残ってますよ。壁画もTeasからそのまま使わせてもらってるし。Teasか、Panか、どっちの作品かを見分けるコツは、可愛さかな。可愛いのは大体Panカンテ。そんなふうに、西桐さんの作品を色々と見れるのは面白いと思いますね。
西尾:椅子にも絵を描かれていますよね?
西桐:ああいうのはたまたま作業中に塗料をつけてしまって、「これはヤバイ」って感じで「じゃあなんか描いとこ」ってやったんですね。
西尾:照明も西桐さんが考えられたんですか?
西桐:そうですね。照明は、私が考えるシャンデリアです。Teasのときに作ったんですけど、そこから何年か経っていたんで、パン屋さんに合うように手直ししました。
西尾:タイル画もかわいいですね。
井上:これは、たまたまタイルがいっぱい余ってたんですよ。それで、工事の人にもらったんです。最初は、僕はタイル画なんて思いつきもしなかったんですけど、西桐さんがなんとなく描いていったんですよ、タイルにばっかり。それで、額を用意して、そこへはめ込んでできたんです。
西尾:他に、西桐さんが工夫されたところや気に入っているところを、教えて下さい。
西桐:それを工夫というのかは分からないけど、カンテTeasの制作のときは、喫茶店ということだったから、お茶というものは運ばれてきて、お客さんが飲むとなくなってしまうものですよね。でもパンの場合はできたものの販売ですから、あくまで主役はパンということなので、ちょっとおとなしく作ったかな。まぁ、パンがおいしそうに見えるし、可愛いし、いいなぁって思ってます。
井上:本当にパンとよく合ってると思ってます。だから、Panカンテは気に入ってますね。ただ場所がね、パン屋さんとしては引っ込みすぎてるかな、とは思いますけど。
西尾:でも、私が来る時はいつも満席になっていることが多いですよ。
井上:そうですか。じゃあ、もっと広かったらよかったかな。
西尾:Panカンテのような雰囲気のパン屋さんは、ちょっと他にはありませんからね。
井上:Panカンテは、Teasの雰囲気とちょうど混ざりあって、よくなったと思ってます。Teasの時は、やっぱりヴェルディの音楽になんかあわせて作ったから、ちょっと重かったかもしれないな。
西桐:それから、Teasを作った頃は、僕がヨーロッパから帰りたてやったから、そういう空気がそのままが焼き付けられた感じが強かったんだと思います。